P1130716 今朝のEテレ日曜美術館は平敷兼七さんだった。『山羊の肺』が出たのは2007年。3年後の2010年、久高島を撮り続けた比嘉康雄さんの写真集『母たちの神』を買い求めに行った書店のコーナーで偶然目にして手に取った。「誰にも撮れない写真」、それがぼくのファーストインプレッション。ほとんど衝動的に、気付いたらレジカウンターに差し出していた。
P1130719 タイトルの“山羊の肺”に込めたのは、もちろん沖縄の人々の舌と命を支えてきた山羊とその肺。で、何故肺なのか。山羊が生きるために必要不可欠な肺が人間の食べ物になった瞬間、不必要の(廃棄される)肉片になってしまうということ。これを(タイトルに)込めたのだそうだ。簡潔に自分なりに解釈すれば、それはおそらく至極便利な世の中に生き、手軽さを当たり前のように享受しているぼくたちが立ち返るべき感覚(あるいは場所)なのだろうと思う。また肺を沖縄県民と捉えるなら国の彼らに対する一貫した姿勢ともとれ打ち捨てられてゆくものたちへの共感も滲む。
P1130720 幼いころからの吃音に苛まれた末に出会ったカメラを他者と繋がるための(命の)手段としてきた今は亡き平敷さんの写真集をじっくり眺めてください。できれば薄暗い部屋で。被写体となった人々の、そして写真家自身の声が聴こえてきます。本当に聴こえてきます。P1130721P1130722