生きるとか死ぬとか父親とか ジェーン・スーさんは24歳の時に母親を亡くしている。いまは70代後半の父親が唯一の肉親。このお父さん、気ままな一人暮らしで飄々としてお洒落で遊び人でいつもスッカラカン。シングルを通すジェーンさんが小粋な文章で父娘つかずはなれずの日常を綴る。娘による父親観察日記でもあり会話はときに落語のよう。オレが書きネタになってやったんだから今日はお前が払っとけ、とか。共同の恒例一大イベントは母であり妻である人が眠る護国寺への墓参りだ。かつての憎悪や軋轢が何かの拍子にフラッシュバックすることもある。わがまま勝手の振る舞いに耐えかねて「親 縁を切る」とネット検索したのも一度や二度のことではない。でもなんだかんだと言いながら、照れながら、イラつきながら、不器用に互いを想いあう江戸前な大人の一人娘と父親である。押入れの衣装ケースにしまい込まれたまま着られることのなかった遺品を発見し、亡き母の心の奥底を知る「小石川の家」は出色。ちょうどこの4月から吉田羊さんと國村隼さんでドラマも始まった。録画予約している。